BRAVO!POPO

いよいよサッカーの季節が始まりました。
今年のFC東京ゼロックススーパーカップACLがあるため、Jリーグ開幕前ではありますが既に2試合を行ってます。
ゼロックスは現地(国立競技場)で、ACLはテレビで(オーストラリアなんか行けませんw)見ましたが、
・・・すげえ!
想像以上というか期待以上でした。
まだ興奮が収まりません。


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FC東京の新監督ポポヴィッチ(以下ポポ)は、2009年大分トリニータの監督でした。
その年の大分は開幕から絶不調で、リーグ14連敗でシャムスカ監督が7月に解任された後を受けてのものでした。
その年の8月29日、私はFC東京vs大分トリニータ味の素スタジアムへ見に行きました。
試合は東京が2対0で勝ち、夏休みの間ずっと勝てなかったので最後に勝ててよかったな、と思うのと同時に、それまで何年間もリアクションサッカーだった大分が、監督交代2か月もしていないのにアクションサッカーに変わろうとしていて、それが結構できていることに驚きました。
これは面白そうなチームになりそうだ、と思ってその後スカパーでもちょくちょく大分の試合を見るようになりました。


大分はその後の10試合を5勝5分けの無敗で終えることとなります。
特に11月22日に川崎に勝った試合は衝撃的でした。
リーグ戦5連勝中、広島には7-0で勝った首位の川崎に、既にJ2降格が決まっている大分が、奇跡や偶然、守り倒してのカウンター一発じゃなくて、堂々とポゼッションを挑んでの完全勝利でした(その後川崎は3連勝でシーズンを終えますが、この1敗の為に優勝を逃します。つまり最終9試合は8勝1敗だったのです。)。
チョンテセが試合後「完全に力負け。このチームが降格する意味がわからない。」と言ったことは有名です。
当初、その手腕を買われて次年も大分で監督を続ける予定でしたが、当時社長の溝畑宏(←コイツについてはいつか書く予定)の放漫経営による負債が10億円以上になることが発覚、ポポは自ら減俸を申し出ますが、結局退団することとなります。
こんな能力のある監督は滅多にいない、どこかとってくれないものか、とfunaは思ったものですが、もう既にどのチームも来年の構想はできあがった時期で、願いかなわずポポは日本を離れることとなります。


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次の年(2010年)、今度はわがFC東京が苦境を迎えます。
昨年ナビスコカップを優勝して、「今年こそは真の優勝争いを」と意気込んだにもかかわらず、シーズン序盤から低迷しました。
特にホーム味の素スタジアムでは、リーグ戦は開幕戦以外全く勝てず(結局最後まで勝てず)、観客数も次第に減っていきました。
チーム順位が降格圏の16位に落ちたことを受け、9月19日には城福監督が解任、大熊監督が新監督になります。
その少し前から、いよいよ監督が代わりそうだどいう噂になったとき、funaは真っ先に「ポポがいいな。ポポは空いてないのかな。」と思ったものでした。
ただ、城福監督はポポと同じつなぐサッカーを志向していました。どうしてもJ1に残ることを第一目標にするならば、今のうまくいかないサッカーとは逆の方向を志向する監督でなければなりません。
だもんで、大熊新監督ってのはfunaとしてもある程度納得でした。


そして最終節、勝てば残留という試合、対戦相手は既に降格が決定している京都サンガ
しかしこの試合、FC東京は、なすすべなく0-2で京都に敗れてしまいます。
J2に落ちた。
それならばむしろ来年は、これからFC東京が目指すべきサッカーをしっかり構築してくれる監督に来てほしい。
以前降格した広島も柏も、そうしてチームのベースを作り上げた結果、J1に上がってもしっかり戦えるチームになっていきました(おととしの時点で柏はその途上でしたが)。
今度こそポポヴィッチを呼んでほしい。
今フリーらしいぞ。
大体「今フリー」っていう話がサポーターの間から出るってことは、サポーターにもポポ待望論があるからに他なりません。
(実はFC東京とは関係ないサッカーファンの間にも、ポポヴィッチをまたJリーグで見てみたいという声は少なからずありました。)


しかし、大熊監督はそのまま続投。
ポポヴィッチは、なんと、JFL(J2より下のリーグ、いわゆる3部リーグ)の町田ゼルビアの新監督となります。
このニュースは、JFLチームという限られた予算の中で、Jリーグ昇格の為に監督にその多くを使ったこと(普通は能力の高い選手を取る)、そしてその3部リーグに実際高い能力の監督が来たことで、ちょっとした話題になりました。
funaはがっかりしました。
いや、日本でまたポポヴィッチが見られる、それ自体は一サッカーファンとしてすごく嬉しかったのは確かです。
しかし、これでおそらく町田は来年Jリーグに昇格するだろう。そうすると昇格チームから監督を「引っこ抜く」なんてそうそうできない。今後数年間は「ポポ町田体制」で行くんだろうな。うちは最終戦?な選手起用(羽生起用なしとか)で降格。しかし、その監督は来年も指揮を執る。
正直町田がうらやましかったです。
しっかりとした考え方を持ったフロント、そしてfunaの好きなポポヴィッチのいる町田を、少し応援してました。
(昇格失敗したら監督が取りやすい、なんてこれっぽっちも思ってませんでしたよ。)


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そして昨年、FC東京はほとんどの選手が残った(つまりほとんどJ1の戦力のままJ2に来た)にもかかわらず、序盤はなかなか勝ち星を積み重ねることができませんでした。
なによりやっているサッカーからは閉塞感しか感じることができず、このサッカー(基本的に相手より能力の高い選手を多数そろえないと勝てないサッカー)で勝てるようになったとして、これからJ1に上がってどうするの、と思わざるを得ませんでした。
まあ「J1に上がって〜」を前提とする、なんてのは思い上がりかもしれません。
5月14日にザスパ草津に負けた時には、「これは今年昇格するのはもうだめかも」って、ちょっとよぎりましたもん。


かたや町田ゼルビアといえば、初戦こそ落としたものの、次戦、次々戦を6-1、5-1と圧勝。
映像はなかなか見れないものの、連動性のあるサッカーはJFLのレベルでは次元が違う、やっぱりポポヴィッチは凄いとあちこちから。
JFLではポポ旋風が巻き起こっていました。
この頃になるとfunaは、ふがいないFC東京にがっくりする相棒(funaは相棒と2人暮らしなんです)に「町田にはポポって監督がいてね」と、盛んに吹き込んでおりました。
でも所詮それは「ればたら」の話、ポポはもう町田の人。
でもそんな話をついしてしまうほど、FC東京のチーム状態は最悪でした。


その後、FC東京も大熊監督が目指すサッカーの方向を転換し、「パスをつなぎ倒す」ことで徐々に上昇していきます。
最終的には首位でJ1昇格を果たしました。
かたや町田ゼルビアも3位でJ2昇格を果たしました。


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J1昇格が見えてくると、来年の監督がどうなるのか、このまま大熊監督でいくのか、それとも新監督を呼ぶのか、FC東京の監督人事はどうしても話題になりました。
funaは、兎にも角にもしっかりした実力のある監督を呼んできて、その監督に数年間任せてじっくりチームをつくってほしい、という考えでした。
しかし、当初ポポヴィッチの名前は頭の中にはありませんでした。
昇格チームの監督(まだ昇格は決まっていませんでしたが、funaは確信しておりました)を横取りするなんて仁義にもとる、と考えていたのです。


・・・しかし、時が経つにつれて高まっていく、「ポポ東京」の可能性。
「東京がポポを取りにいっているらしい」と、いう噂を聞くたびに、嬉しいのと同時に、いいのかなという気持ちも入りまじり、複雑な気持ちに。
でもfunaにとっては2年越しのあこがれの人。やっぱり嬉しい。
12月になって、これはもうポポヴィッチ確定だろうってなってから、天皇杯を勝ち進み、おそらく負けるまでは新監督発表はないだろうという雰囲気の中、2012年元日、FC東京天皇杯を優勝し、翌日にポポヴィッチ新監督の発表となりました。


そして今年からJ2に参戦する町田ゼルビアは、新監督にアルディレス(これもスゴいことです)を迎えました。
やっぱりサッカーはプロの世界、いい条件(金だけではもちろんない)のオファーがあったらそれにチャレンジしていくのはあるべき姿だし、そして「監督を横取りするなんて〜」ってのは、プロのフロントとしての町田ゼルビアに対して失礼だったな、と今は思います。


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公式戦初戦、ゼロックススーパーカップは、惜しくも1-2で昨年のJ1王者柏レイソルに敗れてしまいました。
しかし、サッカーの内容は(funa私見ですが)柏よりもはるかに上でした。
失点するまでの前半の前半はほぼ一方的にゲームを支配していたし、失点してからの後半も内容で巻き返すことができました。
そして、ポポサッカーは高い運動量が要求されるのにもかかわらず、後半も運動量が落ちませんでした。
これは、前半飛ばし過ぎで「一見優位に見えた」わけではなかったことを証明しています。


何より驚いたのが、選手のポジション取りでした。
相手ディフェンダーのいない所いない所、次々にポジションチェンジを繰り返し、1本のパスが入るとそれに連動して選手が動きだし、ワンタッチツータッチでボールが回っている間も的確なポジションチェンジ。
パスコースが常時3つ4つ確保されていて、逆サイド、DFライン、裏を突くFW、そのいずれもが同じ意志を持っているかのように美しく一体化。
しかもそれが何十分も続くのです。
チームを率いてまだ2か月も経っていないというのに。
夢か魔法を見ているようでした。


ポポの口癖は「ミスとはチャレンジしないこと」。
そして、練習でいいアイディア、いい動きをした選手には、たとえ精度が足りなくて思ったような結果にならなくても「BRAVO!」と声を掛けます。
「日本人はミスへの恐怖心が強く、それを取り除くことが必要」そして「監督とは結果を評価する者ではなく、チームを構築し結果をもたらす者」との考えからです。


羽生選手が同点ゴールのヘディングを外してしまった瞬間も、その動きでゴール前フリーになれた動きに対して「BRAVO!」とピッチサイドから声を掛けていました。
ふつう悔しがったり、「次は決めろよ〜」って言いそうなもんですけどね。
そんなポポに、funaはまた惚れてしまいました。


試合後funaboristaは、結果こそ敗戦だったものの、素晴らしいサッカー、そしてFC東京の未来をたった1試合で見せてくれたポポヴィッチ新監督に、心の中で「BRAVO!POPO」と何度も叫んでいました。


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サッカーの醍醐味は、やはりスタジアム観戦でないと伝わらないものがあります。
特にいいサッカーと言われているものは、ボールのないところでの選手の動きが重要なのですが、TVではそれはなかなか伝わりません。
実際、ゼロックスで現地に来ていたFC東京サポーターの感想も、「上から見てたからよくわかった」「次はもっと上から見てみよう」というものが多かったようです。
funaboristaは断言します。
今のFC東京のサッカーは、サッカー好きなら入場料5000円でも安いと。


ACL初戦はJリーグ4チームでまさかの「勝利チームが1チームのみ」。
そのチームが昨年J2のFC東京でした。
東京、そして東京近郊にお住いの皆様。
今、面白くて旬なサッカーは味の素スタジアムで見られます(但し青赤ホームの日)。
是非、足を運んでみてください。


FC東京公式HP:http://www.fctokyo.co.jp/


 


政治ブログ?らしいおまけ


ちなみにゼロックスでは、試合前に「国歌斉唱、みなさまご起立願います」がありましたが、私の近くだけでも何人もの人が座ったままでした(さすがに食べるのは止めたみたいですが)。
しかし、周りでそれをとがめる人は誰一人おりませんでした。
またその人たちも、ユルネバ(You'll Never Walk Alone / 試合前に歌われるサポーターソング)は、マフラーを掲げて立ち上がって歌っておりました。