補助金を受けているからこそ

先日、妻と一緒にNODA・MAPの「エッグ」を見に行った。
野田秀樹には「ハズレ」がないので安心して見に行ける。
野田は2009年に東京芸術劇場の初代芸術監督に就任し、東京芸術劇場は野田の意向もあり一年以上かけて改修、そのリニューアル公演とのことだった。


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改修中の劇場から発見された寺山修司の幻の原稿を読むと、・・・
・・・オリンピック出場を目指す「エッグ」という競技。そして国民的歌手。
東京オリンピックというから1964年のことかと思ったら、実は1940年の幻のオリンピックの話・・・かと思ったら、実はオリンピックを目指していたということ自体が幻で「書き換えられた」歴史だった・・・


前半はスポーツと音楽、後半は戦争にフォーカスが当たり、オリンピック批判、そして731部隊(の犯罪隠蔽)批判がベースとして描かれている。
登場人物からして、粒来幸吉、阿倍比羅夫、○田フミヨといった「暗示させる」名前ではあったが、それでも、知らない人にとっては何が何だかわからなかったかもしれない。
そういう人は、是非これを機に自分で調べてみてほしい。
そうすれば、たとえば「粒来から阿倍への選手交代」が、ただの「喩え話」でないことを知ることができる。


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あたしたちにとって、誰も敵じゃないの。
どちらも味方。
だから、どう転んでも私たちはいつも勝つのよ。


さあ、これからみんなで逃げるのよ。
そのお祝いにシャンパンを開けましょう。
ポンポンポンポンバカみたいに。
陽気でしょう、病気でしょう。
未来に向かってお祝いするの。
そうすれば4年前のことなんか忘れる。
40年前のことなんか。
400年前のことなんか。
4000年前のことなんか。


・・・ねえ、もうどうでもいいでしょう、
さあ、過去から逃げましょう。


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ちなみに、オリンピック批判も、731部隊(の犯罪隠蔽)批判も、実は石原都知事に対する直接的な批判になっている。
(「悪魔の飽食」が出版された際、石原慎太郎森村誠一に「皇軍がそんなことをするはずがない」と主張し論争になったことがある。/もっともそれとは別に、731部隊関係者は戦後2人も都知事になっているのだが。)


東京芸術劇場は、もちろん東京都からの補助金を受けている。


劇を見終わった後大阪を思い浮かべたのは、私だけではなかったに違いない。


そして野田は、補助金を受けているからこそ、この話を東京芸術劇場で演ったに違いない。