今日の一言

昨年暮れに勤め先を変えました。


今度の会社には「今日の一言」っていうのがあって、朝礼時に従業員が回り持ちでなんかしゃべんなきゃなんないんですが、内容は本当に何でもよくて、クリスマス前には「鞄にはまだ若干の余裕が〜」とか笑点ネタかました人もいましたし、まあ会社としてはコミュニケーションのためのものと考えているんでしょう。
もちろん真面目なこと・仕事に直結したことをしゃべる人もいて、当然ながら役職が上になっていくに従い、どうしてもその傾向が強くなるようです。


で、年末、まあ今日が最後の出勤って人が多いだろうなあ、っていう日の、偶然かもしれませんが、まあそういう日ってたいてい役職がちょっとついている人が「今日の一言」になるじゃないですか、他部署の人だからどんな人かも全然知らなかったんですけど、それじゃあ今日の一言ですって言って、
「みなさんは、マクドナルドが注文から60秒で商品を出せるようにするってキャンペーンをやるっていうの知ってます?」
なんて話し始めました。


うへっ、やっぱり仕事の話か、早く終わってくれないかな・・・


と初めは思ったのですが、聞いてるうちになんだか話の方向が・・・


 
「あれ、どう思います?
私、学生時代に働いたことがあるんですけど、どう考えても無理ですよね。
そりゃ『頑張りゃ出せる』かもしれないですよ。
でも、今までと同じものが出せるのか、と言われたら、そこまで含めたらやっぱり無理でしょう。
もしそれができるのなら、今だってできているはず。
でもみなさん、マック行く人は思い出してほしいんですけど、1分で出てこない時の方が多いんじゃないですか。
そして今だって、傍から見ても結構ギリギリまで頑張ってるじゃないですか。


で、思ったんですよ。


うちの会社は、これをやっちゃいかんって。


ここ数日は年末進行で、仕事の量も多くて、それも急に「明日まで」とか「プラス100セット」とか、結構厳しい注文が入ったりして。
でも、できるかできないかわからない状態で、根拠もないのに“頑張る”ってだけで「できます」なんて言っちゃダメ。
それで結果できなかったら、それこそお客様にまで迷惑がかかる。


「できません」って言うことは、なにも恥ずかしいことじゃありません。


「ここまではできるけど、これ以上はできません」ってなれば、他の部署からも応援を寄こすように手配したりするし、今日明日でってのは無理かもしれないけれど、「根性」じゃなくて「やり方を変えますて」出来るようになったなら、それはそのことで会社が成長したことになります。
これはこれで立派な貢献です。


勇気を持って「できません」と言うことが、会社を成長させることに繋がります。
個人の無理な努力で一時的に何とかなったとしても、それは見方を変えれば、会社が成長するチャンスを潰したことになるんです。


日頃「次があることを意識して」と時間の事を多く言いがちですが、それはもちろん「品質が一番」という当然の大前提があってのことです。
その「品質」が「信頼」を生み、業務拡大の一番の力になっていくんです。」


 
うわっ、これいいのかな、・・・


と思って周りを見渡すと、・・・なんとリーダー格の人達は、みんなして頷きながら聞いている!


ああいう場は、「上司に自分の考えをアピールする場」でもあるわけで、そこでのこういう発言、つまりは“今回の「今日の一言」は上司に対していいアピールになる内容である”と発言者に判断されている、ということであり、この件一つとっても、この会社がどういう会社か、なんとなくお分かり頂けると思います。


人生折り返し過ぎてるのに、転職先がこんな感じなのはなかなか恵まれている方なんじゃないかなあ、と、今までの会社での出来事をあれこれ思い出しながら聞いていました。


 


そうはいっても、今いる会社のすべてが素晴らしいというわけじゃもちろんなくて、残業が多い(からブログの更新が週末になっちゃった、というのは単なる言い訳ですが)ってのは「適正人数分の人間を雇えていない」っていう、それはそれで重要な問題ですからね。
でもその残業も程々であれば、その分金さえ貰えりゃそれはそれで寧ろその方がいいかな、なんて思ってしまう自分もいるわけで、・・・このように「利害関係にある対象」って、客観性を担保するのがとても難しいですよね。


なので今後、今いる会社のことは、おそらくよっぽどなことがなければ書かないと思います。
そのかわりと言っちゃなんですが、過去在籍した会社については、今までほとんど書いてませんでしたが、これからはぼちぼち書いてみようかと。
「非正規」の経験がない人、定年まで自身が「正規」であることに何の疑いも持たない人がもしこのブログを読んだとき、その人に日本の「底辺ちょっと上」の実態を知ってもらうってのも、少しは意味があることなんじゃないかと思っています。


 


「今日の一言」、もうそろそろ私の番なんですが、さて、何を話しましょうか。